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仕事の量が多すぎて回らないと思っている人にありがちなことと解決法(2)

2020年12月18日

このページに書いてあること

仕事が多すぎと嘆いている人が陥りがちな状況とその対処法を3つ。そもそも論として、仕事が多いことの何が悪いかというと、ワークライフバランスが崩れたり、各仕事の品質が落ちてしまったりと色々問題を誘発してしまいますからね。

時間効率化とか生産性アップの話ではないです。もっと根源的な話です。長くなりそうなので何回かに分けて以下を書いていきます。

  • 引き受けすぎ問題 
  • 自分でやりすぎ問題 ←今回はこれ
  • 優先度勘違い問題

自分でやりすぎ問題

前回の記事では、仕事を引き受けすぎじゃない?って話をしました。今回はそれにも連なる問題です。

仕事が集中する人というのは、大抵優秀な人が多いです。何かしら頼られる要素があるんだと思います。で、仕事の量がいよいよ多くなってきたときに困ったことに陥りがちです。

周りはやり方を理解してくれな。人に教えながらやるよりも、自分でやった方が早いじゃん。

となりやすいのです。まぁ当たり前っちゃ当たり前の話でして、人手が足りないからと連れてきた人に対しては、まず今回の仕事を教えるところから始めなければなりません。
そして、人に物を教えるというのは大変なコストが掛かります。時間もお金も掛かりますし、最初のうちは躓くことが多いでしょうから向上しづらい品質にだんだん不安が募ってしてしまいます。

ある時点で、「ここからは自分でやるから後はいいよ」なんてなった日には、支援に来てくれたメンバーにとっても大変な不幸です。

ただ、やはり短期的には負担は避けられません。

短期的にはその考え方は正しい

この自分でやった方が早いという考え方は短期的にはその通りです。
例えば今から取り掛かる仕事が本当にこの一回で終わるような場合、またはごく短期で終わるような場合です。

これらの場合は、本当に自分でささっと終わらせてしまうのがいいです。人にやり方を教えたとしてもそれを活かす機会は少ないということになりますし、そもそも短期で完了できる仕事ならボリュームも大したことがない場合が多いと思います。(ボリューム多いけどただ期間短い場合はみんなを巻き込んでやりましょう)

中長期的にはその考え方は正しくない

短期的には正しかったその考え方も、中長期視点では正しくありません。
定期的に何度も(毎年とか年に数回とか)実施するような仕事は、ゆくゆくは他の人に任せていったほうが自分のためです。

なぜなら、同じ仕事をずっとやっていると自身のスキルアップができないからです。

任された側も新しい仕事となるはずですから、成長のためという観点ではwin-winではないでしょうか。

個人的にはあまり重要ではないのですが、あなたが退社した時にその仕事を誰も継続できなくなる可能性もあります。

でも忙しい時に教育なんてできないよという方も多いと思います。

それは教育の方法というか、仕事の任せ方の方法で改善できる可能性があります。
キーワードは「デリゲーション」です。デリゲーションについては、コーチング・マネジメントとして優れた考え方なのでボリュームの関係から別でまとめます。

中長期的な観点で人に仕事を任せるときは、仕事を丸投げするだけでなくて、その仕事の目的などもしっかり伝えてあげることが重要です。

デリゲーションの前の教育期間として、個人的な経験からおすすめなのは最初に教えるときは作業をさせないというものです。一旦まとめます。

まとめ-1

  • 自分でやった方がいいパターン
    - この仕事が1回きり。またはスパンが非常に長い
    - 仕事が1週間とかの短期で終了する
  • 自分でやらない方がいいパターン
    - 類似の仕事が何度も発生する
    - 長期の仕事
  • 教え方を工夫しないと教育負荷が高い

初回の教育では作業をさせない

別にいじめとかの話ではなく、お互いの効率性を考えた時の工夫です。教える側と教えられる側の負担を考えてこうしています。

教育する時間ない問題、教育(OJT)では理解しきれない問題

根本的な問題の前提として、教える側は「教える時間がない」というものがあります。だから自分でやったほうが早いという論調になり、結果として長期的には自身の成長及び会社としての成長を阻害してしまうという問題に発展していました。

教えられる側の視点で考えてみると、「仕事は一回では覚えられない」という問題がありそうです。継続案件であればこれまでのやりとりもあるでしょうし、明文化されていない取り決めなどもある場合が多いです。こういうのは一回やっただけではなかなか把握できるものではありません。技術者であれば、プログラムのソースなどは見ればわかるから大した問題ではないのですが、

  • 顧客との会議体はどうなっているのか
  • どんな資料でやりとりしていたのか
  • 社内の報告はどうなっているのか
  • プロジェクト運営ルールはどうなっているのか
  • 社内報告はどうなっているのか

こういうことを理解していかないといけないわけです。しかし、これだけのボリュームをプロジェクトの作業を行いながら把握していくのはかなり大変です。

OJTだと言っていきなり現場に放り込むのはあまりにもかわいそうです。

そこで、初回では他人に任せたいプロジェクトの作業はあまり実施させずに、自分の仕事を全て見せます。顧客との調整の仕方やプロジェクトの管理方法を後継者を横につけて実施します。

※もちろんこの時、後継者は現在実施している自分の仕事の合間でも構いません。実際の作業はないので、それほど苦にはならないはずです。

顧客との打ち合わせやプロジェクトミーティング、社内報告の場に参加してもらい、運営方法をつかんでもらうのです。

こうやって二週間でも観察して貰えば、おおむねの仕事はその人が引き継いでくれるはずです。後の細かい仕様などの話は設計書やチーム内のコミュニケーションで汲み取ってもらいましょう。

で、ここまでやってから実際のプロジェクトに参加してもらって、仕事ぶりを見ながら適宜フィードバックなどをしていきます。
そうすることで、しっかりとフォローしてもらえるという心理的安全性の面からもモチベーション高く仕事をやってくれるでしょう。

このようにして、「自分でやらなくていいことは積極的に他の人にやってもらう」「やってもらえるようにコーチングする」という2点が、中長期的には

  • 時間的余裕の創出
  • 自身が次のプロジェクトを実施することによるスキルアップ
  • 後継の新プロジェクトを実施することによるスキルアップ

と繋がっていき、部門全体の利益になるのです。

メンバーとして参画する場合

先の例はどちらかというとPMポジションの人への移譲でしたが、若手を入れ替えるというパターンもあると思います。

その場合も先と同じようにしてください。

要は、入れ替え対象となる人をじっくり観察させるということが重要なのです。

引き継ぐに当たって最も重要なこと

ここまでやると、大体の場合は仕事の引き継ぎか可能になります。

ただ、ここまでは仕事を見せて知ってもらうというところの説明でした。
このままでは最も大事な引き継ぎが行えていません。

それは、なぜその仕事(会議や資料)があるのかという部分です。

仕事をする上で最も大事なのは、その仕事の目的・意義や意味を伝えることです。
何事もそれらを伝えるようにしてあげてください。

これを伝えないと、本来出して欲しい成果が出しづらくなってしまいます。

雑な例ですが、

  • 毎日100m走の練習しておいて

と目的や意義を伝えなかった場合、言われた側は適当に100m走って終わりでしょう。タイムなどは意識せず、100mを走るというところに重点をおいてしまいそうです。

しかし、

  • 今度の会社運動会で1位になると多額の賞金が出るので、100m走で一位になれるように練習しておいて

こんな言われ方をしたら、練習方法なども考えるし、出すべき成果もわかりますよね。

中長期的な観点で人に仕事を任せるときは、仕事を丸投げするだけでなくて、その仕事の目的などもしっかり伝えてあげることで、「周りは理解してくれない。自分がやった方が早い」という状況を脱出する1歩になるかもしれません。

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