このページに書いてあること
最近は色んなことの効率化が叫ばれています。仕事の効率化により生産性をあげるというのは至上命題でしょう。
ただ、最近のリモートワークに代表されるように遠隔勤務などが主流となりつつある今、効率化してはいけないものがあります。人間関係です。人間関係を効率化しようとすると、途端にメンバー間の信頼は薄れ、チームはギクシャクしていきます。(新メンバーや結成間もないチームの場合)
人間関係は効率では無く、効果で考えるほうが圧倒的に上手くいきます。
オフィスワークの時代はミーティングの時間をいかに短くするかの手法が重視されていました(ファシリテーターとかタイムキーパーとか)。しかし、リモートワークの時代はそれではチームは死んでいきます。
多少非効率に見えても、得られる効果に着目しましょう。
前提
- メンバーが変わったなどして、若手・付き合いの浅い要員が入ってきた。
- チームを新たに結成して相手のことがよくわかっていない。
こんな時の話です。
結論
- リモートでミーティングをした際は、最初と最後に意識して雑談を行う。(リーダーが率先して雑談を切り出す)
→だらだらとは話さない。ミーティング前の徐々に人が集まっている間と、打ち合わせ後にお疲れ様でした的な雰囲気の間にそれぞれ1テーマくらい。 - 効率重視で用件のみ話してすぐ解散はNG。人間性を軽視されてると感じ、コミュニケーションを取りづらくなってしまいます。
→指示だけ飛ばしてすぐにいなくなる人に対して、あまり仲良くなろうとは思わないですよね?感じ悪いよねーとか言ったりして。 - 「何かあったら相談してね」と言ったのに何も相談なく、「もっと早く相談してよ」となったことありませんか?それ、リーダーの態度に原因があるかもしれません。
- 人間のコミュニケーションの情報収集の割合は、音声10%,表情30%,動作60%と言われています。声だけとか、文字だけだと正しく伝えられない恐れがあります。
プロジェクトを成功に導くにおいて、一番大切な要素は何になるでしょうか。
まぁこの辺は色々と意見が分かれるところだと思います。
ただ、大体は以下のようなものがランクインされるのではないでしょうか?
- 技術力/生産性
- モチベーションを保てる仕事
- 見合った報酬
- 良好な人間関係
で、今回は「良好な人間関係」についての話です。
心理的安全性の重要性
Google社が心理的安全性について「成功するチームに最も重要なもの」と発表して話題になりました。
心理的安全性とは、以下のようなものを指します。
「自分が発言することを恥じたり、拒絶したり、罰をあたえるようなことをしないという確信をもっている状態。チームはコミュニケーションをとるのに安全な場所であるとの信念がメンバー間で共有された状態」
ざっくりいうと、何か問題報告や意見を言った時に、みんなから総叩きされたり強く叱責されたりしてしまうと発言が怖くなってしまいますよね。自分が直接されなくても、メンバーが叩かれているのを見ると「自分もああなるのでは」と不安になってしまいます。
で、このような状況になると、メンバーは自分の責任範囲でのみ行動するようになるし、問題があってもなるべく隠そうとするようになります。
余計なこと言うと叩かれますからね。
よって、心理的安全性が担保されていないチームでは仕事がうまくいかなくなってしまうんです。
心理的安全性阻害の要因として、いくつか提示されています。
- 無知だと思われる不安
- 無能だと思われる不安
- 邪魔をしていると思われる不安
- ネガティブだと思われる不安
リモートワークでもオフィスと同じ仕事をするには、この辺の不安を除外して、価値のあるコミュニケーションをとる必要があります。
リモートワークは雑談を無くしてしまう
コロナウイルスの流行をきっかけとして、急激にリモートワークが導入されました。これは今まで日本企業が「働き方改革」なんて言いながら何もせずにもたついてた領域です。ここを強制的に変えられてしまいました。コロナウイルスと肺炎は絶対に悪ですが、日本における働き方改革が急激に進んだ事実は受け入れたいですね。
オフィスワークからリモートワークになった時に、何が問題になるかというとコミュニケーションの量・質の低下です。
リモートワークでは、基本的に個人作業になります。
そうすると連絡は基本的にメール・チャット・電話になります。
これらのツールは、大抵の場合「雑談」を奪います。
「相手の邪魔をしたら悪いから」「文字で打つのは大変だから」などの理由で、基本的には必要最低限のやりとりになります。
そうすると、コミュニケーションの量は大きく低下してしまいます。
コミュニケーション量低下の問題は、相手を知り・自分を知る機会を失うということだと思います。
雑談は結構重要でして、雑談の中から「相手はどんなことを知っているのか」「どんなことを考えているのか」「何に興味があるのか」などがわかってくるものです。
人間は何度もコミュニケーションをとる相手ほど親近感を覚えて警戒を解いていく生き物です。
道端であった人に話しかけるのはかなりの勇気が入りますが、知り合って10年とかの友人にはポンっと肩叩いたりできますよね?それと全く同じです。
人間は、よく知らない相手に対しては特に自分の弱点や恥ずかしい部分を見せたくないものです。そうした時に問題になってくるのが、先にあげた要因のうち
- 無知だと思われる不安
- 無能だと思われる不安
ではないでしょうか。仕事において「こんなことを聞いたら馬鹿だと思われないか」「そんなこともできないのかと思われないか」などの感覚は誰しも持ったことがあると思います。
普段から雑談をして相手と自分の相互理解が少しでも助けられていれば、普段の会話の中で「相手はどの程度のスキルなのか」を把握することができます。これにより、「無知・無能だと思われないか」という不安は低減することができます。お互いにある程度のスキルや指向は掴んでいるわけですからね。
チャット・電話ならではの悪影響を考える
こちらは割と単純な話で、対面での雑談とチャット・電話による非対面の影響についての話です。
チャットって雑談に向いてないと思いませんか?文字打つのめんどくさいし、人数多いと打ってる間に話題が流れていくし、打ってる間は他のことできないしと言った具合に、対面と比べると気軽さはありません。これは個人差でしょうが、やめ時もイマイチわからないですよね。対面ならその場から立ち去ればいいのですが、チャットだとずっと見れるので、何か反応しないといけないのではないかという心理になります。電話も同様で、電話中って結構集中力を持っていかれますよね。イヤホンない人だとスマホを手に持たなきゃいけなかったりもします。
つまり、要因のうちの
- 邪魔をしていると思われる不安
ということになります。今は雑談の例でしたが、先の「こんなこと聞いて無知だと思われないか」などと相まって、仕事上の質問とかができないんですよ。
ギリギリまで自分で解決しようとして時間をかけてしまう。そんなの聞いてくれれば5分で終わったのに。となります。
でもこれ、完全にリーダー側の責任でして「いつでもコミュニケーションを取れる人間関係を構築していなかった」のが原因です。
普段から雑談とかの気軽な会話OKな感じになっていれば、メンバーはもっと早くに相談に来たはずです。
普段から雑談OKで話しやすい空気を醸成しておけばこのような事態も防げることが期待できます。
雑談の電話が来たら邪魔なので、会議の前後でしっかりと雑談をするということですね。
文字だけでは感情は伝わらない
最後に、非対面コミュニケーションの最大の悪影響は「感情が読み取れない」ということです。これは
- ネガティブだと思われる不安
につながります。
対面の場合は表情や体の動きが見えますから、言葉の意味を補完して理解できます。例えば、
辛くないですか?
文字だと感情が入ってこないので、かなり冷淡なイメージになります。もしかしたら本人は笑顔で感謝を伝えているつもりかもしれませんが、文字だけではそんなのは伝わりません。
文字によるコミュニケーションでは否定的な反応はより否定的に相手に伝わります。
これに対しても雑談が有効で、相手の声のトーンから感情を取得することができます。また、相手の理解が深まっていけば、どのような感情で反応をしているのかということも想像できるようになりますから、文字のコミュニケーションも円滑に進められるようになります。
というわけで、チームとして未熟なうちはリモートワークの時代だからこそ雑談などの業務外コミュニケーションもとって、相互理解を深めていくことが却って良好なチーム作りに寄与してくれます。
もちろん、成熟したチームも。成熟したチームは雑談が多かったりしますよね。