チーム作り

Win-Winとはどこまでを考えれば良いのか

2020年10月10日

よく、Win-Winの関係でとか言いますが、あれって結局どこまでの範囲で考えれば良いのでしょうか。Win-Winを得る事はできるのでしょうか?

そもそも、このWin-Winと言う言葉はアメリカのスティーブン・R・コヴィーさんが、自著の中で言い出した言葉です。
本自体はかなりの名著に仕上がっておりますので、是非一読ください。
「7つの習慣」というタイトルです。

で、会社でよく聞くWin-Winの関係っていうのはどういうものか。まずは一般的なイメージからみましょう。

一般的なWin-Winのイメージ

私もHappy、あなたもHappy。

超シンプルですね。要は、お互いにいい取引にしましょうみたいな浅い内容で語られることが多いです。

本当のWin-Win(コヴィー氏が言っていること)

これは著書の第4章にて触れられています。

  • 人間関係の哲学である
  • Win-Win / Win-Lose / Lose-Win / Lose-Lose / Win / Win-Win or No Dealがある

え?って感じがしませんか?哲学?種類多くない??って。

これですね、営業とかがよく薄っぺらい方の意味で「Win-Winの関係にしましょう」とかいうんですが、本当の意味は「ベストな解決策をお互いに模索していくような、対等な関係を築き、両者ともに発展しましょう」という意味で、哲学の内容としては、

「課題にぶつかった時、どちらかが妥協したり、どちらかのやり方を押し通すような考え方ではなく、お互いが心から納得できるような第3案を模索していきましょう」という意味です。

まだイメージしづらいでしょうから、事例を交えて具体化しましょう。

事例として、SES企業の営業とIT企業の採用部門をとりあげます。
SES企業の営業は、IT企業に1ヶ月100万円で1名を売りたい。業界内では1ヶ月100万円は高めの単価。
IT企業の採用部門は、次の開発のために技術者を増やしたい。SES企業はここだけではない。予算は決まっているが、その中でならできるだけ人を確保したい。
1名の単価が高い会社と、決まった予算内でできるだけ人を増やしたい会社ですね。

Win-Win

必ず両者の利益になるような解決策を見出しましょう。という考え方です。
事例で考えるとどうでしょうか。
このままいくと、単価が高いという理由で断られてしまいそうです。
条件を付け加えましょう。SES企業は、技術者が余っているというのはどうでしょう。
この場合だと、SES企業の方から「1名の単価を80万に下げて、2名入れるのはどうか」という提案ができれば、お互いの困りごとをうまく解決できそうですね!

Win-Lose

相手を言い負かしてでも自分の勝ちを拾う姿勢です。
事例で考えると、SES企業の100万円という単価を押し通せれば良さそうです。
条件を付け加えましょう。IT企業は明日から人が欲しいというのはどうでしょうか。
SES企業が明日からいけるという状態であれば、高かったとしても押し通せそうです。しかし、IT企業からしたら足元をみられたと思うでしょう。今後の取引に影響しそうですね。

Lose-Win

自分の利益を捨ててでも、相手に勝たせる考え方です。
事例で考えると、IT企業は安く・多く欲しいわけですから、これを達成できれば良さそうですね。
条件の追加は不要でしょう。
SES企業が単価を大幅に下げて赤字になるような金額で提示すればLoseーWinになりそうです。しかし、SES企業からしたらもうこの会社とは取引しないという考えになるでしょう。通常の商売では買い手が有利ですから、何もしなければLose-Winになりやすいです。

Lose-Lose

自分の利益を押し通すあまり、お互いに損をしてしまう考え方です。
事例で考えると、お互いの企業が自分の主張を通そうとして、100万の単価を下げない、他のSES企業を探すぞなどという闘いになってしまうと、お互いに取引先を失ってしまうでしょう。喧嘩別れに近いです。

Win

自分の勝ちだけに着目して、周りのことは一切考えないという姿勢です。相手が負けようが勝とうが関係ありません。
今までの内容で説明は不要でしょう。自分勝手な人に映るので、取引したくないと思われるでしょう。

Win-Win or No Deal

これが知らない人多いのではないでしょうか。WinーWinの関係を模索するのですが、最良の方法が見つからない場合は取引をしないという姿勢です。
Lose-Loseと大きく違うのは、「前向きな姿勢による取引の不実施」ということです。「今回はお互いに条件が合いませんでしたが、次回はまた相談させてくださいね」ということでLose-Loseの喧嘩別れとは大きく異なります。
事例に条件を追加して考えましょう。SES企業が単価80万にして2名を提案したが、IT企業は70万で3人欲しかったとした時、どちらかが妥協して相手の言い分を飲むのではなく、今回は条件が合わなかったということで次回また相談させてくださいねということでしょう。これならば、必要となった時にまた取引の可能性が残るでしょう。
大切なのは前向きに別れるということです。

結局どれがいいの?

ということで種類がいくつもあったんですけど、結局どれがいいのでしょうか?

先の例にもよく登場しましたが「条件を追加しましょう」ということです。

要は、「ケース・バイ・ケース」です。

びっくりしません?「Win-Winの関係」っていうのは間違っていて、「Win-Win ~ Win-Win or No Deal」までのどれかを場合に応じて使い分けろと言っているんです。

そうですよね?

勝負事ならWinとLoseは決めないといけないですし、企業間の競争もWin-Loseです。
トラブル解決には痛み分けで責任を分割してLose-Loseもあるかもしれません。
勝負事なのにWin-Winでみんな勝ち!とか意味わからないですよね。

企業間の取引においても、相手や自分の置かれている状況に応じて、柔軟に選択肢を考えていきましょうよ!

というのをコヴィー氏は言っているわけです。

場合によっては自分がLoseを選択する場合も必要でしょう。例えば、「今回はこちらが引くので、次の取引ではこちらの要望を聞き入れてくださいね」なんていうケースです。当然、逆のパターンで相手がLoseを取ることもあるかもしれません。禍根を残さないために、No Dealが重要な場合もあるでしょう。(これはもちろん、「おたくとは今後一切付き合わん!!」みたいな喧嘩別れでなく)

先輩・後輩・上司・顧客。常に発生する対人関係の調整ごとでは、対応を柔軟に使い分けたいですね。常にLoseにはならないようにしつつも。

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